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当分野について

部長/准教授
平野 靖 Yasushi Hirano

 医療情報部は「情報コミュニケーション技術を通じた診療、教育、臨床研究および病院運営の向上」を目的として1996年に創設され、診療の適切な評価や効率化を行える情報環境を目指して病院のシステム化の促進に取り組んできました。
 今や日常診療に不可欠な診療支援機能であるオーダリングシステムを2004年までに全ての領域で導入、2009年には電子カルテ・統合画像システムによりペーパーレス・フィルムレス化を実現、以後も診療現場との対話を通じて様々な機能開発・改善を続けています。
病歴など診療情報の構造化を踏まえた二次利用データベースの開発、その利用環境としての集計・解析システムの構築を進め、診療・研究・経営それぞれに活用できるように院内各部門との連携・支援を行っています。また同時に情報活用に伴う責任、すなわちセキュリティ管理・プライバシー保護などの社会的・倫理的な課題にも日々、具体的に対応しています。
 研究のテーマとしては、医学研究科の一講座として主に臨床意思決定支援と医療技術評価を扱います。根拠に基づく医療 (EBM)”の主要データベースであるMEDLINE、Cochrane Libraryなどのオンライン情報源を利用した医療技術のシステマティックレビューとメタアナリシス、判断分析による医療経済評価などを実践しています。診断技術の情報価値の解析、コンピュータシミュレーションを使った治療技術の効果予測、効用分析や経済分析を使った医療技術評価の解析法は、臨床医に欠かせない知識として、また 診療ガイドラインや医療政策に根拠を与えるものとして活用されています。
 当分野の教育目標は、「医学・医療のすべての営みを情報およびシステムという視点で捉え、これらを客観的に評価し 最適な行動を選択できる能力を修得する」ことにあります。すなわち、診療・学習・研究における問題解決への積極的な姿勢を身に着け、ベッドサイドでの判断や診療態勢をシステムとして捉えることによって制約された条件下で客観的に評価するための情報収集・処理技術を修得することです。
 病院情報システムとデータサイエンス、それぞれの課題にじっくりと取り組む中で様々な経験を積むことができます。コンピュータおよびネットワークの利用能力、判断学および疫学の方法を用いたEBMの理解、医療技術の効果とコストを踏まえた効率性の評価、問題解決の目的に応じた診療データベースの再編成と活用支援、地域医療連携を活性化する情報基盤構築の立案、個人情報保護とセキュリティ管理など、それぞれが医療を俯瞰する新たな視点をもたらすだけでなく、将来にわたって医療の質改善など様々な場面での力強い武器となるでしょう。
 具体的かつ実践的な課題解決に求められる情報処理のスキルは臨床的な問題解決スキルと共通するところが多いため、予備的な知識や経験は問いません。質の高い医療を支えようとする情熱があれば、学生・大学院生・医療職の立場を問わず、どなたでも歓迎します。興味のある方は是非一度ご連絡下さい。